季節の特集

特集・秋のくらしの森

季節の健康コラム

「認知症」
「認知症」

杏林大学医学部付属病院医師
植地 貴弘さん

認知症の種類

週の日曜日の夕食に何を食べたか思い出せますか?すぐに思い出せない方も心配いりません。物忘れは誰にでも起こり得るのです。ただ、日常生活に支障をきたすほどになったら、認知症の可能性があり、注意が必要です。
日本の65歳以上の高齢者における認知症の割合は3.8~11%といわれており、超高齢化社会を反映して、海外に比べ高い割合となっています。
認知症の種類は大きく分けると、「アルツハイマー型認知症」「レビー小体型認知症」など、脳の神経細胞に異常が起こるタイプと、脳血管障害に起因する「脳血管性認知症」があります。さらに、「正常圧水頭症」など、原因となる病気を治療することで改善できる認知症もあります。

早期発見が大切

治る認知症はまだ少ないのが現状です。それでも、認知症の進行を遅らせたり、症状を軽くしたりする薬も出てきました。そのため、早期発見が非常に重要で、早期発見することで、本人と今後について話し合うこともできます。認知症の診断は、本人や家族から病歴を聞くだけでなく、神経心理学検査などを行い、記憶障害の有無、認知症の重症度、種類などを判定します。
しかし、症状がほとんどない認知症の早期では、診断が難しいところです。そこで、最近ではMRIやSPECT(スペクト)といった検査を行い、脳の萎縮や血流を画像にすることで、さらに早期発見できるようになってきました。物忘れが増えてきて、認知症が心配だなと思ったら、お近くの「物忘れ外来」を受診してみるのもよいかもしれません。

【認知症の種類と割合】
認知症の種類と割合
  加齢による物忘れ 認知症
体験の忘れ方 一部を忘れる 全部を忘れる
親しい人に対して 名前が出てこないことがある 誰なのかわからない
探し物に対して 力して見つけようとする 誰かに盗られたと言う場合がある
物忘れの自覚 ある ない
日常生活への支障 ない ある
症状の進行 あまり進行しない 進行する